Highlights

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アイドルのプロデュースで磨く、実践的な問題発見・解決力。

2016年09月28日

Interview

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石井 裕明 准教授

(経済学部経済経営学科)

竹内 かれん さん

(経済学部経済経営学科 3年)

木村 優輝 さん

(経済学部経済経営学科 3年)


経済学部の石井ゼミでは、日本コロムビアのもと実在するアイドルの「プロデュースプラン」に挑戦。実社会のリアルな課題に取り組む学びについて、先生と学生にお話を伺いました。


ー 石井ゼミではどのような研究をされているんですか。

石井先生 私のゼミのテーマはマーケティングです。その柱は大きく2つあって、ひとつは消費者側の視点。消費者行動を心理学などの理論を使ってしっかり説明できるようにする。もうひとつは企業側の戦略。学生たちには、授業で学んだフレームワークを使ってその戦略の分析や立案ができるようになって欲しいと思っています。

ー 学生のおふたりはなぜマーケティングを学ぼうと?

木村 今の先生のお話でいうと、僕は企業側の観点から興味を持ったんです。有名ブランドの経営者の本を何冊か読む機会があり、それがきっかけでした。今、某コーヒーチェーン店でアルバイトをしているんですが、店側の立場で見えてくることもいろいろあって、さらにこの学問が面白くなっています。

竹内 私は父が会社を経営しているということもあり、その影響で経営やマーケティングに興味を持つようになりました。それと、成蹊大学に入って受けた石井先生の授業が具体的で面白く、さらに興味が高まり石井ゼミを選びました。

ph01.jpg石井 裕明 准教授

ー 石井先生は日々の指導において特に意識されていることはございますか。

石井先生 マーケティングは自分自身もお客さん、消費者なんですよ。だからこそ、お客さんとしての直感を大事にして欲しい。お店やレストランで不思議に思うことはたくさんあるはずです。そこに気づいて、それを理論でどう説明していくか。「自分だったらどうなの?」という視点を常に持ってもらいたい。言い換えれば問題発見能力、そして論理的な思考能力、問題解決能力ですね。
もうひとつ重視しているのは、グループワークです。大学生は気の合う仲間ばかりと付き合いがちです。でもゼミは気が合う者同士で集まっているわけじゃないので、グループにするとうまくいかないこともある。そうした中で物事を進めていく力、協調性とかコミュニケーション能力を育てていきたいと思っています。

ー 石井ゼミでは産学連携で「アイドルプロデュースプラン」という取り組みを実施したと聞いています。面白そうなテーマですね。

石井先生 日本コロムビアさんの協力のもとに、今年度の前期ゼミで行いました。実際にメジャーデビューするアイドルグループを題材に、その知名度をあげ、ファンを獲得し、収益化するまでのプロデュースプランを企画して、企業にプレゼンテーションするというものです。
学生たちには実社会に近い場所でプレゼンテーションする経験を積んで欲しかった。人脈をたどって課題提供してくれる企業を探していたら「アイドル」というテーマをいただいたんです。

木村 このテーマを聞いた時には、みんな驚きましたね。ゼミのほとんどの学生があまり関心のない分野だったので戸惑いもありました。

石井先生 企業側からのオリエンテーションがあって、それから実際にアイドルのメンバーに会う機会も作っていただいて。練習風景を見たり、公開される前の曲を聴かせてもらったりしました。またプロデューサーの方から企業側の思いもお話しいただきました。

木村 仕事として本気で取り組んでいる企業の方とお会いして、仕事に対するエネルギーがすごいなというのを強く感じました。自分たちもいい提案をしなければと、身が引き締まりましたね。

竹内 これは中途半端にやってはいけない、私達も本気で、日常から意識してやっていかなければならないな、と。

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ー プレゼンテーションまでにいろんな苦労があったかと思います。

木村 特に大変なことがふたつありました。ひとつは、空想のアイドルじゃなく実在するアイドルで、企業でもプロデュースプランを進行させている点。僕たちが企画を進めていても途中で情報が開示された時に、あっ全然違う方向だからこれはダメだと軌道修正を余儀なくされました。もうひとつは、グループワークなのでさまざまな個性が集まっている点。発言力や理解の深さも異なるので、どうまとめていくかというところに苦労しました。

ph03.jpg竹内 かれん さん

竹内 私のグループにはアイディアをポンポン出してくれる子が多くて。アイディアの数に困ることはなかったのですが、逆にアイディアが広がりすぎて本来の軸からずれてしまう。テーマに沿わせようという際に意見が割れてしまうこともあって、そこで悩んだりしました。
先が見えなくなってしまった時は石井先生に相談をし、また、何度もグループワークを行って話し合い、自分たちが本当に納得いくものを創るようにしました。

石井先生 成蹊の学生の特徴かもしれませんが、アイディアを出すのはすごく上手なんです。今回のグループワークを見ていると、人のアイディアを切り捨てるのが難しかったようですね。それでも話し合いを進める中で、自分たちがいちばんやりたいことに落とし込むにはどうすべきか気づいたようです。また、アイディアを取捨選択する一方で、アイディアを組み合わせることの重要性もよくアドバイスしました。
苦労といえば、この二人はすっかり忘れたようなんですけど、ほとんどのグループがプレゼンテーション当日の朝まで徹夜で作業していました (笑)。最後の最後まで粘ってがんばって、クオリティを高めてきましたね。

竹内 あのラストスパートはすごかった。先生も最後の最後まで相談に乗ってくれて。先生と学生の距離が近いからそういうこともできるんだと思います。

ー 当日まで企画書を練り上げて、満足の行くプレゼンテーションはできましたか?

竹内 私たちのグループは女子大生を巻き込んでいく企画を提案しました。企業に関心を持っていただける部分もありましたが、100%満足できたかというとそうではない。ライブに行ってファンの方々の熱を感じてみるとか、もう少し頑張れたのかなと。

木村 僕たちのグループは、60~80年代の「復刻」をコンセプトにしました。
全力でやったつもりですが、いろいろ抜けているところもあり...。利益のことなど、もっとビジネスを意識するべきだったと思っています。

ph04.png日本コロムビアでのプレゼン当日
ph05.pngプレゼン終了後、全員で記念撮影
ph06.jpg木村 優輝 さん

ー 今回の取り組みを通してどんな学びがありましたか。

竹内 私はこの夏にインターンシップに参加したのですが、その時に消費者目線に立って考えるということがとても役に立ちました。またグループワークを通じて、人とコミュニケーションをする上での自分の長所・短所を発見することもできたと思います。

木村 現状分析から戦略立案までの道筋を実践で身につけることができました。さらに、自分に足りていない部分に気づくこともでき、この夏に行ったインターンシップで意識して改善することもできました。アイドルプロデュースプランの体験は、自分の中の基盤になったのかなと思っています。

ー 実践を通して様々な学びがあったようですが、石井先生は産学連携の授業に関してどんな展望をお持ちでしょうか。

石井先生 成蹊に限らず最近の学生は、インターネットで情報を集めて満足してしまう子が多いような気がしています。でも、実際に現場に行かなきゃ分からないことって必ずある。外に出て学ぶシステムをどう作っていくのか、これが課題のひとつですね。
あとは、学生が限られた時間の中でも存分に課題に取り組めるよう、スケジューリングを工夫していきたい。僕らがプレゼンテーションをする相手は24時間そのことを考えている人達です。うまく時間を使って、彼らが期待する以上の提案をしたいですね。

ー 最後になりますが、成蹊大学あるいは成蹊大学経済学部の魅力はどんなところに感じますか?

木村 経済も経営も幅広く学べ、そこから自分が学びたいテーマを絞っていけるところがいいと思います。大学全体でいうと、国際交流や留学制度が充実しているところですね。これは僕が成蹊大学を選んだ理由のひとつでもあります。

竹内 私も、経済学と経営学を総合的に学べるところ。他には、私たちのゼミのように、少人数でひとつのことを集中して学ぶことができる点。少人数制教育は成蹊大学の大きな魅力だなとすごく思います。

石井先生 魅力をひとことで言うと「バランス」だと思っています。ひとつめのバランスは、ふたりも言っているように経済も経営も学べること。これはすごく重要で、ビジネスパーソンとして活躍する時に、両方の知識が絶対に役に立つはずです。そして、規模のバランス。経済学部は480名が定員で、だからこそ少人数教育も可能になる。かといって小さすぎず、多様性にも触れられる絶妙な規模です。さらに、立地のバランス。少し郊外の吉祥寺だからこそ美しいワンキャンパスが実現できているはずで、一方、都心へのアクセスもいい。マーケティングを学ぶには流行発信地へのアクセスってすごく重要なんです。
様々な面で良いバランスがとれているからこそ、とてもいい学びを提供する可能性があるのだと私は思います。

ー 生き生きとしたゼミの様子が伝わってきました。本日はありがとうございました。

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  • このコンテンツはYOMIURI ONLINEに公開された内容を再編集したものです。コンテンツ内容や、学生の在籍学部学科名、在籍年次、教員の役職等の情報は2016年度公開時のものとなります。