2016年11月30日
(国際教育センター常勤講師)
(文学部国際文化学科 3年)
(理工学部情報科学科 3年)
ー 学生のおふたりは、学部は別々ですが共に「成蹊国際コース」を受講されています。これはどのような授業なんですか。
芦沢先生 成蹊国際コース(以下、国際コース)はハイレベルなグローバル人材の育成を目指す、学部の枠を超えた学びの場です。全学部から約80人が選抜され、少人数クラスを組んで行われます。大きく分けて三つの科目があり、一つは必修科目であるIndependent Study。これは少人数ゼミのようなクラスで、私も担当する教員のひとりです。二つ目は、英語で発信するスキルを磨く科目。ビジネス英語、ディスカッションスキルなど、自分が伸ばしたい英語力に焦点を当てて学べます。三つ目は、知力を鍛え、視野を広げるための科目。文化、国際社会、科学技術、法律など、自分が関心のあるテーマを選び、国際社会で活躍するために必要な知識や教養を吸収していきます。
ー おふたりはどのような理由で国際コースを志望されたんですか。
家住 私は大学に入学してからずっと留学がしたかったんです。TOEFLの授業などは取っていましたが、もっと英語力をつけるために集中的に学びたいと思っていました。その時ちょうど国際コースの第1期生の募集があって、これはいいチャンスだと。そしてもうひとつ。国際コースは留学のサポートが特に充実しているんです。留学する時の奨学金が増額されるし、留学中に受けた授業やインターンシップの成績を、帰国後に国際コースの単位として認定を受けることができる。こうした点も志望した大きな理由です。
西村 僕も英語力を高めたいと思い志望しました。英語で行われる授業だし、例えばリスニングやディスカッションなどに特化して、自分の弱点を補強できるところにも惹かれました。また、学部横断型の授業なので、全学部から意欲的な人が集まって一緒に学べるところも魅力。考え方の違いとか、いろいろ刺激を受けられると思ったんです。
ー 必修科目のIndependent Studyについて、もう少しお聞かせください。
芦沢先生 Independent Studyは英語力を高めるだけではなく、学修の進め方や発想法、発表のスキルなどを英語で学ぶことが目的です。課題やトピックを選び、それについて自分で調べ、その成果を英語でレポートにし、そして英語でプレゼンテーションするといった授業の流れになります。
家住 2年生の時は先生が英語文献の調べ方や英文レポートの書き方など、基本的なことから教えてくださいました。グループ単位で調査したりして、最終的にみんなの前でプレゼンテーションしました。3年生になると、それを一人でやるようになるんです。
私が選んだテーマを一つ挙げると、「日本のイメージ」について。以前留学した際に、ああ、日本ってこういうイメージを持たれているんだと面白く感じ、詳しく調べてみたくなったんです。毎週毎週、先生に英文レポートを提出して指導を受け、プレゼンテーションまでもっていきました。
西村 僕は映画が好きなこともあり、「映画の鑑賞スタイル」をテーマに取り上げたりしました。今はレンタルDVDだけでなくストリーミング配信などもあり、映画鑑賞の仕方が多様化しています。映画は家で観た方がいいか、映画館で観た方がいいか、そういったことを様々な人に調査し分析しました。
このIndependent Studyに限らず、国際コースでは聞いているだけの授業はあまりないですね。ディスカッションやプレゼンテーションなど発言する機会がかなり多いです。
国際コース授業中の様子
ー 授業を進める上で何か心掛けていることはございますか。
芦沢先生 授業の中で初めて聞く専門用語や手法が出てきて、ちょっと難しいところもあると思います。私が心掛けているのは、学生となるべく一対一で話し合う機会を増やすこと。時間をかけ、ゆっくりと。そうすることで、その学生が分からない箇所、つまずいているポイントが見えてきます。こうした指導ができるのも少人数クラスならではですね。
家住 先生が一人ひとりしっかり見てくださるから、私としてはすごく良かったです。
西村 ほんとにそう。先生と学生の距離が近いので楽しく勉強できます。
芦沢先生 それともうひとつ、学生の主体性を伸ばしたいといつも考えています。グループでも個人でも、私はこれがやりたい、こうしたいと、好奇心を持って自ら学ぶ姿勢を持ってほしい。また、そういう姿勢がある人にはぴったりのコースだと思いますよ。
ー 学部の授業と並行してリサーチやプレゼンテーション準備をするのは大変ではないですか。
西村 僕は理工学部なんですが、どの授業も毎回きちんとやっていかないと置いていかれるし、所属する研究室での研究もある。その上に国際コースの宿題もあるので...。先ほど主体性というお話がありましたが、自分で計画を立て、時間をやりくりし、大変ですが、がんばってこなしています。
家住 私は国際文化学科ですから、異文化を学ぶ授業が多い。そこで得た知識を国際コースの授業の中で活用することができるので、大変は大変ですが、相乗効果になっています。
芦沢先生 英語に関してはみんな力をつけているので、それほど問題ではないですね。やはり時間でしょう。宿題をやるのにも時間が必要ですが、グループワークだとそれぞれ学部が違うのでタイミングが合わず、教室の外であまり会えない。だから、みんな授業中に集中し助け合ってがんばっていますよ。
ー 密度の濃い授業で力が養われているように思いますが、自分が成長したと感じるところは何でしょう。
家住 いちばんは、自ら行動する姿勢が身についたこと。国際コースにとどまらず、授業に対する姿勢が変わったと思います。しっかり準備をし、復習を心がけるなど、前向きに取り組めるようになりました。
西村 具体的に言うと、Academic Listeningという科目では留学先の授業で役立つリスニングやインタビューのコツを身につけることができました。留学を考えている僕にとっては大きな自信につながっています。
芦沢先生 私から見ても学生たちの成長ははっきり分かりますよ。英語力が伸びるだけじゃない。みんなすごく積極的になります。最初の頃は英語で発表するのが初めての学生もいて、静かな感じ。でも最後の頃になると、パフォーマンスを交えたりしながら堂々と発表します。また、分からないことがあるとためらわず質問するようにもなります。素晴らしい成長です。
家住 人前で発表するのは日本語でもあまり得意じゃありませんでした。今思うと、最初は英語でやることはチャレンジでしたね。
ー 国際コースについていろいろ伺いましたが、成蹊大学全体を見て、どのようなところが魅力ですか。
西村 都内にはワンキャンパスの大学はあまりありません。だから学部横断の授業なんてなかなかできないと思います。成蹊大学は学生数も多すぎず、他学部の学生と交流しやすいところがとてもいいですね。また、大学近くの寮に住む留学生ともすぐに交流でき仲良くなれます。
家住 ひと言でいうと、挑戦させてくれる大学。自分がやりたいことを追求できるし、また大学もそれをサポートしてくれる。私は以前からオーストラリアに行きたくて留学を実現させたのですが、国際教育センターが留学準備として英語の講座を設けてくださったり、留学後も様々な情報をくださったり、とてもよく面倒を見ていただきました。
芦沢先生 私が特に思うのは、通常の英語必修科目の中でもグローバル社会について学ぶ機会があるということですね。私も教えていますが、世界で今起こっている深刻な問題、例えば地球温暖化とか、人種問題とか、そういう問題についてディベートなどをしながら学ばせ、考えさせる。視野を広げる教育がしっかりしています。
ー 最後になりますが、今後の夢や目標を教えてください。
家住 オーストラリア留学でインターンシップなども経験する中、様々な国籍の人とコミュニケーションできるって素晴らしいことだと、改めて感じました。いずれまた、そういう国際色豊かな場所で働きたいと強く思っています。
西村 僕はまず大学在学中に留学し、その後に大学院留学も考えています。大学院留学が終わったらいろんな国に住めたらいいなと思っています。そのためにも今は英語と国際感覚をしっかり身につけ、世界へ羽ばたいていきたい。
芦沢先生 二人とも素晴らしい。私はすごくうれしいです。
ー 充実した学びを強く感じました。よき国際人になるようこれからもがんばってください。