2025年08月01日
「実践ビジネス演習(1)」(担当教員:藤田真弥講師)では、企業が実際に直面している課題に対して、学生がチームを組んでその解決策を発表します。企業の経営者や事業責任者へ提案し、直接フィードバックをいただく機会を通じて、ビジネス現場で求められる視点や能力を体得してもらうことが、本講義の狙いです。
issin株式会社(以下、issin)は、「日常生活に溶け込んだヘルスケア体験を通じて、生命力溢れる世界を実現する」ことを企業理念に掲げている、東京大学発スタートアップです。
受講した学生はissinの理念に資する製品を企画し、issin取締役CFO寺田博視様へ提案する機会をいただきました。
7月22日(火)の講義にて全チーム9チームが発表を行い、以下3チームが優秀賞を獲得し、issinの人気製品であるスマートバスマットおよびスマートリカバリーリングが贈呈されました。
(左)無意識のうちに体重が測れるバスマット
(右)つけるだけで回復を促すスマートリカバリーリング
センサーを搭載したパッチがストレートネックを知らせてくれる製品を提案しました。
整体クリニックへのヒアリングから「整体だけでは根本的な姿勢改善は難しく、日々の習慣が重要である」ことを確認するなど、既存アプローチでは充足しきれないニーズに訴求した点が評価されました。
先端につけたセンサーが頭髪の密度および臭いを可視化し、AGAの予防や育毛治療の効果予測ができるヘアブラシを提案しました。
AGAクリニックの院長、および患者へのヒアリングを通じて、具体的なお悩みと利用シーンを確認した点が評価されました。
issinのスマートリカバリーリングに搭載されている一部の機能を動物用の首輪へ転用し、ペットの活動量・心拍数・体内水分量・睡眠時間などを可視化する製品を提案しました。
約1か月間、実際にスマートリカバリーリングを使用した学生が、その機能の充実さを体得した上で提案した点、また動物病院の院長から「これら項目の可視化は病気の予兆検出に有用である」と確認した点が評価されました。
また以下の2チームは、本講座期間を通じた熱心な姿勢やチームワークを踏まえ、特別賞を受賞しました。
issin製品の既存ユーザのうち、ストレス値が高い方や充実した睡眠が取れていない方のメンタルケアとなる「日記アプリ」を提案しました。
日記は習慣化しにくい課題がありますが、ストレス値や睡眠などの生体情報に加えグーグルカレンダーなどの外部アプリと連携することで、アプリ側から日記を促し習慣化をかなえる点でユニークな提案でした。
茶碗の下部に取り外しができるセンサーを取り付けることで、ご飯の量(カロリー)を習慣的にコンロトールできる製品を提案しました。
同社の既存2製品との併用を通じて、同社の企業理念の実現が一層期待できます。一般的に、熱心な学生ほど目先の課題解決に捕らわれしまう面がありますが、実際のビジネス現場では企業理念に沿った判断が求められます。実践的な視座を持っている点が、高く評価されました。
今回の課題を提供くださったissin寺田博視様から、本取り組みに対して以下のコメントを頂きました。
「弊社の企業理念を踏まえて多角的な提案を示してもらい、大変刺激を受けました。
習慣化しにくい課題に対して、どのような工夫があれば習慣化しやすいか、ヒアリングやアンケートなど丁寧な情報収集を通じて付加価値を追求している提案に対して優秀賞をお送りしました。また、どのような事業であっても確実な成功はありません。あらかじめ失敗しそうな項目を分析し、リスクマネジメントが考えられている点も素晴らしかったです。」
本学の経営学部は、経営学に関する専門的な学びに加え、企業経営の問題をより広い視点から認識できるよう、実務経験のある専任教員からより実践的な内容を学修する授業を複数用意しています。本講義は本年後期にも開催が予定されており、さらに実践的な学びを深めていきます。