経済学部経済数理学科鈴木史馬教授(専門分野:マクロ経済学)と山上浩明教授(専門分野:公共経済学)の共著論文 「Pessimism toward climate disasters and asset prices: A quantitative investigation」 が、査読付き国際学術誌Economics Bulletinに掲載されました。
論文の概要
本論文は、気候変動による経済リスクが金融市場でどのように価格付けされるかを分析した。従来のモデルが災害を偶発的かつ独立した出来事として扱っていたのに対し、本研究では、災害が継続する可能性をマルコフ確率過程によって表現し、投資家の「不確実性への不安(曖昧さ回避)」を考慮して主観的な確率を導入している。その結果、投資家が気候災害リスクを悲観的に見積もると、リスク資産に対するプレミアムが高まり、安全資産の利回り(無リスク金利)は下がることが示された。これは、消費の変化に対する柔軟性(時間を通じた代替のしやすさ)が低い場合でも当てはまる。この研究は、投資家の主観的なリスク認識の重要性を示した点で、気候経済学と資産価格理論の分野に貢献している。
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