経済学部経済数理学科 山上浩明教授(専門分野:公共経済学)の論文 「Mitigation or Adaptation? The Role of Fiscal Policy」 が、Cambridge Univ. Pressの査読付き国際学術誌Macroeconomic Dynamicsに掲載されました。
本論文は、Mouez Fodha教授(Paris School of Economics, パリ第1大学, エクスマルセイユ大学, CNRS)との共著です。
論文の概要
本稿は、気候変動対策として「緩和」(温室効果ガスの排出削減)と「適応」(被害への備え)に対する投資と財政政策の関係を分析した。税収や国債などの公的資金が適応を、民間資金が緩和を、それぞれ形成する際、本稿は経済の発展段階や補助金の水準により、緩和と適応は相互に補完する関係にも、代替関係にもなることを示した。例えば、資本が少ない国では、高い補助金により緩和と適応が代替的になる一方、補助金が低いと両者は補完的になる。また、政府が債務を抱える状況では、資本が十分にある国では公共投資の拡大が有効だが、資本の乏しい国では逆効果になる恐れがある。本研究は、緩和と適応の最適な組み合わせに関する議論に対し、財政政策とその資金調達手段という新たな視点を提示している。
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