6月23日(火)、文学部のデジタル・ヒューマニティーズ科目「デジタルアーカイブ概論」(担当教員:前山和喜 客員講師)において、作家の魚豊(うおと) 氏をお招きし、授業を実施しました。
本講義は、一般の学生や教職員にも聴講を認めるオープン形式で開催され、履修生を含め約100名が参加しました。


当日は「AI」や「あなたが信じているもの」をテーマに、学生同士のグループワークおよび魚豊氏とのトークセッションを実施しました。
授業では、学生が感じたことを起点に、「なぜそう思ったのか」「その背景には何があるのか」といった点について、魚豊氏が問いかけを重ねながら議論を深めました。
生成AIが進化する時代を生きる学生からは、「未知に対する怖さ」「ハルシネーションへの不信感」「生成物は他者の模倣であり、創作とは言えないのではないか」などの意見が挙げられました。
一方、「信じているもの」というテーマでは、「母親」「出会った人」など、人との関わりに根ざした回答が多く見られました。
これらを言語化し共有することで、なぜAIを無条件に肯定できないのかといった根底にある考え方について、理解を深める機会となりました。


履修生からは、「他の学生のAIの生成物は模倣であるという意見に触れ、はっとさせられた」「魚豊さんや他の学生の話を聞き、自身の意志をもってAIを活用していきたい」などの感想が寄せられ、AIに対する理解を深める契機となりました。
2018年『ひゃくえむ。』で連載デビュー。2020年より連載した『チ。―地球の運動について―』は、第26回手塚治虫文化賞マンガ大賞、 第54回星雲賞コミック部門などを受賞し国内外で高い評価を得る。人間の信念や知をテーマにした作品で注目を集める気鋭の作家。
デジタルアーカイブは、情報技術の発展や社会のあり方に強く影響を受ける知のインフラです。そして同時に、資料が「見つかる」「読める」「比べられる」ようになる、さらには生成AIの学習に利用されることで、研究の問いそのものを更新してしまう力も持っています。
当授業では、デジタルアーカイブの基盤となる「デジタル」の思想や特徴、技術を学び、デジタル化によって生じる利点と課題を検討します。「過去」「現在」「未来」という時間軸から、デジタルアーカイブが学術研究や社会に与える影響を整理します。
AIと人文学の接点を探る本講義は、デジタル・ヒューマニティーズ教育の取り組みの一環として実施されています。