2026年07月31日
7月9日・10日の2日間、夏の日差しが降り注ぐ11号館1階をのぞくと、コーヒーを手に会話を弾ませる人々の姿が見られました。11号館プレゼンテーションエリアで開催された、文学部芸術文化行政コース第5期成果発表会「おしゃべりらいと吉祥寺」です。
芸術文化行政コースとは、文学部に2020年に開設された学科横断型コース。芸術文化を通じて地域や社会と向き合う活動の担い手を育成することを目的とし、武蔵野市の行政、文化施設、NPO、市民などと協働しながら実践を学び、多様な人びとがともに生きる社会のあり方を考えます。中核となる演習科目「制作演習」では、後期から前期にかけての1年間で、受講生が自らの手で「成果発表会」を企画・告知・運営します。
今回の成果発表会は、「出会いなおし」をテーマに、吉祥寺についての自主制作冊子(ZINE)を配布し、それをもとに語り合うイベントです。
今期は、アーティストのマネジメントを学生たちが体験学習するという、これまでの方針を少し変えて、学生たちが表現する側になり、その上で自分たちの企画を主催しました。
■吉祥寺をテーマにした活動
吉祥寺の歴史と文化に着目し、その魅力を自分たちなりの視点から見つけてシェアするという主題を掲げ、世界各地で現地の人たちとの交流活動を続けているテンギョー・クラさん(成蹊大学出身)を並走者として迎え、2つの活動を行いました。
<吉祥寺のレジェンドにインタビューを行った通称「ドンタビュー」>
吉祥寺の文化を象徴する要素として「喫茶店」「商店街」「古本屋」「映画」という4つのキーワードを設定し、それぞれに深く関わりを持つ方々にお話を伺いました。
<吉祥寺を舞台にした「フィクションストーリー」の創作>
ドンタビューや街でのさまざまな出会いをベースに、学生14名とテンギョー・クラさんが、短編ストーリーをつくりました。
■初の試み・自主制作冊子(ZINE)「きちじょう ― じん ― 人 ― ZINE」を作成
上記の「ドンタビュー」と「フィクションストーリー」の二つの活動内容を冊子にまとめました。
いろいろな冊子を参考にプロ向けのソフトを使って編集。冊子として統一感をもたせることなど苦労を重ねながら完成させました。
■ユニークなイベント当日の流れ
イベント当日も、趣向を凝らした会場導線が敷かれ、来場者を楽しませていました。
①11号館2階マルチユーススペースには、制作過程を動画で紹介するコーナーとフィクションストーリー(短編ストーリー)が掲示されている。その中からお気に入りのストーリーを一つ選ぶ。
②各ストーリーのタイトルが書いてあるドリンクチケットを選ぶ。自主制作冊子(ZINE)を受け取る。
③1階プレゼンテーションエリアに移動し、ドリンクチケットを見せ、コーヒーを受け取る。コーヒーや冊子を手に5期生と一緒に吉祥寺についておしゃべりする。
■5期生に聞いてみました!
<なぜ芸術文化行政コースを受講したのですか?>
「公務員を志望しているので、行政という言葉に魅かれて受講を決めました」
「入学前からこのコースに興味があり、入りたいと思って入学しました。アートプロジェクトに興味がありました」
「自分たちでイベント企画運営したいという思いがありました」
<成果発表会の感想は?>
「インタビューや冊子づくりなど、すべてが初めての経験でした。何から始めればよいかわからない状態からのスタートでしたが、手探りでかたちにしていく貴重な学びになりました」
「冊子の完成が直前になるなど、前期はバタバタで大変でしたが、みなさんに冊子を褒めていただいてうれしいです」
初めてのインタビューや冊子づくりに苦戦しながらも、手探りで自分たちのアイデアを形にした第5期生たち。学生自身が「表現者」として街や人々に向き合った今回の試みは、地域社会との協働を学ぶ芸術文化行政コースの新たな一歩になりました。
また、「おしゃべり」を通じて、学生と地域の人々、そして吉祥寺という街がゆるやかにつながった2日間。一杯のコーヒーと一冊のZINEから生まれた小さな会話の輪は、大学と地域を結ぶ大切な場にもなっていきました。